中国が南沙に地対空ミサイル配備可能な拠点建設、完成近い=米関係者
[ワシントン 21日 ロイター] - 中国が南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島に造った人工島で、長距離地対空ミサイルの配備が可能とみられる20以上の建造物の建設をほぼ完了していることが、米政府関係者2人の話で明らかになった。
中国はスービ(中国名・渚碧)礁、ミスチーフ(美済)礁、ファイアリクロス(永暑)礁の人工島にコンクリート製で開閉式屋根が付いた建造物を建設。関係者2人は匿名を条件にロイターに対し、これは軍備増強と見なされる可能性があると指摘した。
中国はすでに南沙の人工島で滑走路を建設している。
米情報機関の関係者1人は、「中国が理由もなく南シナ海で何かを建設することはないだろう。これらの建造物は別の場所にある地対空ミサイル発射台用の建造物に類似しているため、論理的に考えるとそれが目的とみられる」と指摘した。
別の関係者は建造物は幅が20メートル、高さは10メートルとみられると明らかにした。
米国防総省の報道官は、米国は引き続き「南シナ海の非軍事化」にコミットしていると表明し、領有権を主張する当事者すべてに対して国際法にのっとり行動するよう求めた。
ワシントンの在米中国大使館はコメント要請にすぐには応じていない。
ロシアの国連大使が急死 執務中に突然異変、心臓発作か
ロシアのビタリー・チュルキン国連大使(64)が20日、ニューヨークで急死した。ロシア外務省が発表した。死因は明らかにしていないが、執務中に突然異変に見舞われたという。ロイター通信は「心臓発作だったようだ」という米政府当局者の見解を報じた。
20日は、チュルキン氏の65歳の誕生日の前日だった。ロシアのプーチン大統領は20日、「傑出したロシアの外交官が職務中に命を落とした」という弔意のメッセージを発表した。
チュルキン氏はベルギー大使、カナダ大使などを経て、2006年から国連大使を務めていた。ウクライナ問題やシリア問題について、国連安全保障理事会などを舞台にロシアの立場を雄弁に主張してきた。安全保障理事会の議場への入退出の際、記者団の呼び掛けに最も頻繁に応じる一人で、批判的な質問にも、落ち着いて時にユーモアも交えながら対応してきた。
トムソン国連総会議長は「悲しみに暮れている。ロシアと国連は卓越した国際的な知性を失った」との声明を出した。またウクライナやシリア内戦をめぐり激しく対立することが多かった米国のヘイリー国連大使は「米ロはいつも同じように国際情勢を理解していたわけではないが、彼は紛れもなく卓越した力量で自国の立場を主張してきた」との声明を発表した。(モスクワ=駒木明義、ニューヨーク=金成隆一)