ロシアの国連大使が急死 執務中に突然異変、心臓発作か

ロシアのビタリー・チュルキン国連大使(64)が20日、ニューヨークで急死した。ロシア外務省が発表した。死因は明らかにしていないが、執務中に突然異変に見舞われたという。ロイター通信は「心臓発作だったようだ」という米政府当局者の見解を報じた。

 20日は、チュルキン氏の65歳の誕生日の前日だった。ロシアのプーチン大統領は20日、「傑出したロシアの外交官が職務中に命を落とした」という弔意のメッセージを発表した。

 チュルキン氏はベルギー大使、カナダ大使などを経て、2006年から国連大使を務めていた。ウクライナ問題やシリア問題について、国連安全保障理事会などを舞台にロシアの立場を雄弁に主張してきた。安全保障理事会の議場への入退出の際、記者団の呼び掛けに最も頻繁に応じる一人で、批判的な質問にも、落ち着いて時にユーモアも交えながら対応してきた。

 トムソン国連総会議長は「悲しみに暮れている。ロシアと国連は卓越した国際的な知性を失った」との声明を出した。またウクライナシリア内戦をめぐり激しく対立することが多かった米国のヘイリー国連大使は「米ロはいつも同じように国際情勢を理解していたわけではないが、彼は紛れもなく卓越した力量で自国の立場を主張してきた」との声明を発表した。(モスクワ=駒木明義、ニューヨーク=金成隆一